日本型アトピー患者さんへの治療,マセソン先生のステロイドの考え方を
「日本型アトピー治療 勉強会テキスト」日本で混乱しているステロイド情報1〜4 のところにも連載しています。こちらもご参照ください。
患者さん、ご家族から以下のようなご質問をたくさんいただきます。
Q:ステロイドを使う→いままのでの治療と変わらないのではないか!
Q:アメリカのステロイド→強いステロイドで一時的に炎症を抑える!
(やめるとリバウンドがおこる!)
A:患者さんごとの原因を治療した上で,ダメージを受けた皮膚の表面のみの補足ツール、メンテナンスとしてトライアムシナロン、ハイドロコロチゾンという軟膏等を必要があれば使われます。
このお薬は皮膚への浸透度のレベルが弱から中レベルのなので、中止することによるリバウンドの危険性は少なく、正しく使用する事によって安全にケアをすることを指導されます。
初診の際に、原因を特定すること、皮膚の再起動をはかることなどの治療を進めるためのレスキューとして、数日〜約4週間で体外に排出されるよう計算された、ステロイド筋肉注射にてトライアムシナロン、または経口のデルタゾンを使われる場合もあります。(それほど多くの日本のアトピー患者さんは難治化しているといえるのかもしれません)
つまり、ステロイド(軟膏)のみをメインとして治療するのでなく、個々の患者さんの症状・原因ごとにカズタマイズされて治療が行われます。
日本人アトピーの原因の代表的なものである、
1,バクテリア治療
感染の治療、バクテリア感染のコントロール、鼻の治療、ケミカルウォッシュ、ブリーチバス、徹底したスキンケア
2,空気のアレルギー治療
患者さん個別のアレルギー検査(皮膚)、イミュノセラピー(アレルギー免疫療法)
3,接触性アレルギー治療
原因を特定して、避ける。洗濯洗剤、シャンプー、間違ったモイスチャー、洋服、ゴム製品、防腐剤等
4,ヘルペスなどのウイルスの治療
適切な抗ウイルス薬
5,女性特有の湿疹など治療
6,感染症の治療
7,その他の治療 特殊な物質へのアレルギー等
以上のような1〜7が「アトピー治療」として行われます。
治療は、ひとつのお薬を使うのではなく、患者さんごとの原因を科学的に緻密に特定し、そこを医学的に治療していきます。もちろん、長い間ダメージを受けてきた皮膚は、適切な治療後、そのダメージを回復させ、健康な皮膚に育て直すために時間が必要なことがあります。その期間のケアを私たちチームと行っていきます。
また、「私のアトピーは1〜7のどの原因にもあてはまらず、私だけ治らないのではないか?」といご心配も多く聞かれます。マセソン医師の治療は、原因をひとつひとつ探り治療をすすめます。仮に1〜7以外の要因があるとしても、ひとつひとつ回復のために可能性のドアを開けていきます。マセソン医師は内科医としてのトレーニング、研究も同時にされています。ゆえに、お薬の使い方、治療戦術も皮膚科領域と内科領域にまたがるような機序がみられます。
サイクロスポリンのアトピー治療への機序や、リジェネロンなどの研究もそれらの成果といえます。
レポート:AA-J 明石郁生 改定2014.12

2013.11.30 ドクター来日講演 新宿